- “Otaku”企画 vol.4 -
 
 
 
 

「100年後の仕事をする山師を知る:WOOD JOB!」

 
 
2020/07/08

 

 
 
 

私たち山中漆器のみならず、日本そして世界における“木”を素材に扱っている仕事を一番根底で支えてくださるのが木を伐(き)りだす「山師(やまし)」の存在。前回の第一回Communication Projectの対談の中でも何度も話題に上りました。次回のCommunication Projectでは実際に山師の方にお話を伺った対談をお届けしますが、まずはその前に山師を知るためのとっておき映画のご紹介です。

 
 
 
 
 
 
 

”少年よ、大木を抱け。”

 
 
 
「山師」という職業を皆さんご存知でしょうか。山に入って、木を伐って…というイメージがある方もいらっしゃるかとは思いますが、今回はその山師さんの仕事を実際に体感できる映画のご紹介。ずばりそれは…
 
 
 

 

 
「WOOD JOB! ~ 神去なあなあ日常~  スタンダード・エディション」
  Blu-ray&DVD発売中
  発売元:TBSテレビ
  販売元:東宝
  ©2014「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」製作委員会
 
 
 
 
 
『ウォーターボーイズ』(01)『スウィングガールズ』(04)の矢口史靖監督の爆笑と感動と衝撃のノンストップ大木(たいぼく)エンタテインメント!!
主人公は、明日の自分のゆくえも決めきれない高卒ホヤホヤの18歳男子・勇気。ひょんなことから生まれ育った都会から遠く離れ、携帯も繋がらない、コンビニも無い、若者もあんまりいない、山奥の村で林業に従事することに。危険と隣り合わせの超重労働に心は一瞬で折れ、すぐにでも逃げ出すつもりだったのだが…。気の強い美人に恋したり、変わり者だらけの村の住人たちを好きになったり、山で不思議な体験をしたり、自然の絶大なる存在にかけがえのなさを感じてしまったり…。そして、なんといっても、今切り倒した木は自分達の祖先が植えたものであり、今植えた木を切り倒すのは自分達の子孫であるという、100年先を見据えた、気の長い“未来を作る”仕事─【林業】の魅力に、勇気は次第に気付いていく─。【文】公式HPより
 
 

 
  
知識も経験もない都会の青年が見る林業、山師という世界は私たちが知らなくてはいけない多くの”気づき”を与えてくれます。当たり前に使っている今目の前にあるこの器。その木がどこから来るのか、どんな方々の手を渡ってきたのか。そして同時に、日本が持つ美しい山並みも必見!エンターテインメントだからこそ、楽しく笑ったりほろっとしながら見れますよ。是非ご家族皆さんでご覧ください。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

先祖が作ってくれた道を歩み、死んだあとの仕事を残す

 
 

 

 
 
 
 
この映画の中では植林等木を伐る以外の山との関わり方 や、木を伐った後に市場に卸す工程を実際に見ることが出来ます。勿論、木を伐り倒す場面は圧巻!!!木が唸り、低い地響きのような音を立て倒れていく姿は、まさにえもいわれぬ心が震える瞬間。私たちが創り出すお椀たちを通して「命を頂いている」ということが実感できるシーンでもあります。
 
映画を通して私たちの大切な自然素材の産業への心得や在り方など、多くのキーワードが登場してきましたが、今回は劇中の心に残る会話を一つご紹介。
 
 
 
 
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勇気(主人公の青年):
あの杉一本倒して80万ですよ。今日売れた分全部足したら…くうぅ~。この山みんな切り出しちゃえば億万長者じゃないですか!
 
中村親方(主人公が働く会社の親方):
ん?ははっ。まぁそういうことやな。
 
勇気:
なんでこんな車乗ってるんですか。ベンツ乗りましょうよベンツ。
 
-ばしっ(勇気、与喜に叩かれる)-
 
与喜(会社の先輩)
おまえほんまにあほやな。自分が生きとるうちのことしか考えてへんやろ。なあ。
 
勇気:
えっ?ってなんかおかしいですか?
 
与喜:
先祖が植えたもん全部売ったったら俺らの次の世代、その次の世代はどうするんや?100年もせんと打ち止めや。
 
勇気:
はぁ…
 
中村親方:
そやから苗木を植え続けて大事に育てたらなあかん。おかしな仕事やと思わんか。農業やったら手間暇かけて作った野菜がどんだけうまいか食べたもんが喜んだか分かるけど林業はそうはいかん。ええ仕事をしたかどうか、結果が出るのは俺らが死んだ後なんや。まあ、なあなあやな。※「なあなあ」とは…神去地方の方言で、「ゆっくりのんびりいこう」「まあ落ち着け」転じて「小さなことにくよくよするな」などの意。

 
 
 
 
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大きな心を持ち、大きな木に臨む。そして命を懸けながら100年後を見据えて仕事をする。そんな山師さんが今日も山に入り、木を伐っていることを私たちは忘れてはいけないのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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